#9 ちょうどいい
「席を移動していただいたお礼です。」
「いつも来ていただいているので。」
こう言って味玉をトッピングしていただくことがある。
「ありがとうございます」の感謝の言葉だけでも十分うれしいのに、味玉を付けてもらった日には食べ終わる最後までニヤニヤしてしまうし、麺一本残したくないと思うし、また来ようと心から思う。
味玉は言葉に添える最高にちょうどいい感謝のカタチだと思う。
ただわたしはラーメン屋の店主でない。
同じくらいちょうどいい感謝を日頃から伝えるためにはどうすれば良いのだろうか。
物に頼りたくはないが、言葉も慣れてしまうから。
その時々によって、感謝の言葉とともに相手にとっての味玉を添えたいものだ。
「与えて欲しけりゃ、まずは自分から与えろ。」
相手に味玉を求めるのなら、まずはこちらから味玉を与えるのだ。
味玉ぐらいなら「自分ばっかり」と拗ねる必要も、恩着せがましいかなと悩む必要もないから。
#8 その日が来た
サウナにて常連さんから声を掛けてもらえた。
初めて向こうから掛けていただいた方だった。
たったこれだけのことだが今の自分には嬉しく、これまでの積み重ねを感じた。
これからもこの気持ちと姿勢を忘れずに行こう。
#7 雨降って地固まる
わたしの他人との関係形成の過程はいつもそうだ。友人、先輩は特に。恋人はどうだろうか。
言いたい事を言って、ぶつかった後ほど優しくなれる。言いたい事を言った分、素直に聴く耳を持てる。
もしかすると、その人は赤裸々なわたしを受け入れてくれたと無意識のうちに感じているのかもしれない。もっと言えば、赤裸々な自分を見せている時点で信頼しているのだろう。
「期待をするなら相手ではなく自分に」
とても大人で、いい言葉だ。
ただ孤独にも感じてしまう。
わたしはやはり他人から期待されたいし、その期待に応えたい。
わたしは他人からの期待に気づくのが下手だ。うまく気づけず、ぶつかってしまう。
そして地面が固まってやっと、期待に気づく。
初めから気づければ雨を降らすことなく素直になれるのに。ここがわたしの成長ポイントだ。
#6 帰省での気づき
父親と「一番風呂」を奪い合うのは我が家でのありふれた風景だった。
じゃんけんをして決めることもあったが、大概の場合は譲ってくれていた。
今回もそうだった。
湯舟に浸かり一呼吸。あることが頭に思い浮かんだ。
一番風呂はだれかと競うから生まれるのだ。
言いかえれば、だれかと一緒に暮らしているから得られるものなのだと。
#5 セイイ
【誠意】
私欲を離れ、曲がったところのない心で物事に対する気持。まごころ。
(広辞苑より)
【sincere】
a feeling, belief, or statement that is sincere is honest and true, and based on what you really feel and believe
(ロングマン英英辞典)
恋愛 「誠意を尽くせ」
今年の初めに突きつけられた御言葉。
正直言ってあまりピンと来ていなかった。
私欲を離れて恋をするって何だよって。
ただ、自分が本当に感じていることに基づいた態度で接すれば良いって考えると、すこし気がラクになった。
今日も誠意をかぶりつきます。
#4 小さな平和
2020/3/14 @カントリーブラン→農志塾
春の訪れを感じる土曜の朝に市外のパン屋へ車をはしらせた。
ひょんなことから、十勝中のパン屋を巡る理由ができたからだ。それも一年以内に。
“濃厚接触”とかいうなんともねちっこい言葉を流行らせたアレのせいで、パン屋にも変化があるそうだ。
それは、包装。
ビニールに閉じ込められて、個包装されているらしい。たしかにパン好きの人からしたら興ざめなんだろうな。
ブルーベリージャムの甘酸っぱさを、最後のひと口のコーヒーで流し込もうとしたとき、男の子とお母さんが入ってきた。
「塩パンほしい?」
「うん。ほしい。」
「ほんとうにすきね。」
自分がこの子の歳のころはチョココロネ一択だったので驚いた。さすがとかちっ子。
包装されず、テカテカの塩パンは見るからに美味しそう。この子がきょうもサクフワの食感を愉しめるのは、ビニールがないから。
これだけ世間をさわがせているアレだが、男の子にとっての小さな平和は守られていた。
このギリギリの境界線はあり続けてほしい。
#3 ポークジンジャー
2020/2/16 @ファームレストラン野島さんち
日曜のお昼、レストランでごはんをたべた。
あさベットの中で調べ、「ポークジンジャー」を食べようと決心した。
しかし、人間は弱いもので、いざメニューを開くと、ほかのものに目移りしてしまう。
豚バラと大根の煮物なんてズルいよ。
ただ、ここは社会人として自分を律せねばと思い、ポークジンジャーを注文。
これまでの経験上、「やっぱりあっちにしておけば」と後悔するかしないかの確率は、丁度フィフティー・フィフティー。
そして今回は完全に勝利。
こんなに美味しいしょうが焼き、いや、ポークジンジャーははじめてだ。
何事も「はじめて」の経験は感動する。
こんな感動をこれからも大切にしていきたい。