#9 ちょうどいい
「席を移動していただいたお礼です。」
「いつも来ていただいているので。」
こう言って味玉をトッピングしていただくことがある。
「ありがとうございます」の感謝の言葉だけでも十分うれしいのに、味玉を付けてもらった日には食べ終わる最後までニヤニヤしてしまうし、麺一本残したくないと思うし、また来ようと心から思う。
味玉は言葉に添える最高にちょうどいい感謝のカタチだと思う。
ただわたしはラーメン屋の店主でない。
同じくらいちょうどいい感謝を日頃から伝えるためにはどうすれば良いのだろうか。
物に頼りたくはないが、言葉も慣れてしまうから。
その時々によって、感謝の言葉とともに相手にとっての味玉を添えたいものだ。
「与えて欲しけりゃ、まずは自分から与えろ。」
相手に味玉を求めるのなら、まずはこちらから味玉を与えるのだ。
味玉ぐらいなら「自分ばっかり」と拗ねる必要も、恩着せがましいかなと悩む必要もないから。